蝶は,変形する翅の羽ばたき運動により,飛翔に必要な流体力を得ることが可能となり,自由に飛翔している.これまでに,その翅の運動メカニズムだけでなく,離陸飛翔と同等の翅の挙動を示す脚を固定した状態の蝶の翅まわりに形成される渦輪とその羽ばたき一周期の動的挙動を二次元PIVにより明らかにした.さらには,スキャニングPIVおよびステレオPIVにより,自由飛翔する蝶の後流に発達する三次元渦構造(渦輪)を捉えることにも成功した.しかしながら,この渦輪と蝶が生み出す非定常流体力の関連付けは十分に行われていない.本研究では,蝶の翅の羽ばたき運動により生成される渦輪の動的挙動と蝶が生み出す非定常揚力の関係を明らかにすることを目的とする.具体的には,蝶の翅の羽ばたき運動により生み出される非定常揚力を小型六軸力覚センサにより計測し,それと同期したPIV計測により,流れ場を定量的に明らかにし,これらを関連付けることで,蝶の翅が作り出す渦流れ構造とその非定常流体力特性を明らかにすることを目的とする.